
■不良の状態
液晶パネルの右側に大きくライン抜けがあります。よく見るとパネル右隅に小さな割れもあります。この割れがライン抜けと関係があるかもしれません
■修理法の考察
ライン抜けと割れがあるので、このパネル自体を修理するのは、まず不可能です。一番簡単な方法は、液晶パネルごと交換ですが、新品の液晶パネルは入手がかなり困難(パナソニックはパーツを売ってくれるらしいですが、詳細は分かりません)仮にあったとしても、非常に高価です。たぶん、中古のCF-T1が買えるかもしれません。あとは中古の液晶パネル単体もしくは、液晶の生きているCF-T1のジャンクをオークションなどで探して取り替える、もしくは2個1するか、だと思います。でも、ちょっとオークション(ヤフー)で検索しましたが、液晶パネルは数が少なくて価格も結構高価、CF-T1のジャンクはもっと高価でした。CF-T1は、人気機種の為、ジャンク品もパーツも総じて高い傾向です。なるべく安く修理したいので、もう少し手に入りやすい機種からの流用を考えてみます。
■どの機種の液晶パネルを流用するか?
まず、CF-T1を分解して、液晶パネル単体を調べることにします。液晶パネルを取り出すには、本体部分と液晶部分を切り離さないといけませんでした。

★ここまで分解しないと液晶部分を切り離し出来ません★
分解を終え、液晶パネルの裏側を確認したところ、CF−T1の液晶パネルは東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社のものが使われていることが分かりました。これは流用の可能性を探る上で、貴重な情報です。

★CF-T1の液晶パネル
この会社の詳しい事は分かりませんが、名前からして東芝のノートパソコンにも液晶パネルを供給しているのではと思われます。だとすれば、東芝の12.1インチの液晶サイズで、CF-T1と前後する期間に発売されたモデルに搭載された液晶パネルが、流用できる可能性があると思われます。そこで、オークション(ヤフー)の東芝のカテゴリで、12.1インチの液晶パネルがでてないか探してみます。出品された物の写真で型番を調べ、どうやらDynaBook SS2000系の液晶パネルが流用できそうな感じです。オークションでは、安くて液晶の生きてるSS2000のジャンクがなく、たまたまショップで売っていたジャンクを入手することが出来ました。

★DynaBook SS2000の液晶パネル
■流用への大きな壁
SS2000の液晶パネルを取り出し、型番を確認。CF-T1のパネルの型番の末尾に「P」がつきますが、両者のパネルは同じ型番です。(「P」はpanasonicの「P」でしょうか?)
流用に期待が持てますがしかし、詳細に観察すると、いろいろと異なる部分があります。


★2枚の液晶パネルを重ねてみたところ
★重ねた上がCF用、下がSS2000用。SS2000用には、固定の為のネジを止める4カ所の出っ張りがある
液晶パネルの固定の仕方が違う為、パネルの外枠部分の形状が異なります。(SS2000のパネル外枠4隅の出っ張りがある、これは液晶パネルを液晶カバーにネジ止めする為のもの)冷陰極管からインバーターへとつながる線の長さが違いますし、インバーターとつながる部分の形状も違います。当初は、SS2000のパネルの形状を加工して(四隅の出っ張りをカット)取り付けろうと思いましたが、この出っ張りを綺麗に落とすのは管理者が持っているツールでは不可能で、途中で断念しました。後で分かったのですが、CF-T1のパネル外枠は、液晶カバー(上蓋)と噛み合う様な構造になっており、SS2000のパネル外枠は、たとえ出っ張りを綺麗に落としたとしても、CF-T1の液晶カバーには取り付けできません、これが流用への大きな壁になりました。
■解決法は、やはり2個1
2つの液晶パネルを目の前にして、考え込んでしまいましたが、最終的には液晶パネルの2個1を実施することにしました。液晶パネルの構造は、液晶の表示部分とバックライトユニット部分とに大きく分けられますが、両者の液晶パネルを分解し、CF-T1の液晶の表示部分をSS2000のものと交換しようというわけです。しかしながら、液晶パネルの分解組み立ては、かなりデリケートな作業で、今回の作業の中で一番気を遣ったのは、組み立て時にバックライトユニット部と液晶表示部分の間にゴミが入らないようにすると言うことでした。バックライトユニット部にゴミが入ったまま、組み立てると液晶を表示した場合、反射でゴミの陰が見えて、見苦しいものになります。以前、失敗したことがあるので、今回は慎重に作業を行いました。分解は、液晶パネル表示部分が黒いテープで固定してあるので、それを丁寧にはがしていけば、液晶パネル表示部分を取り外すことが出来ます。表示部分はフィルムケーブルで制御基板とつながっており、取り外しの際にはケーブルや制御基板に損傷を与えないように慎重に外します。後は、CF-T1のバックライトユニット部にゴミをかまないように息を止めて(笑)乗せ、表示部分をテープで固定していきます。元々止めてあった黒いテープは再利用できなかったので、市販のセロテープで代用しました。


★液晶表示部を取り外す為、液晶表示部の周りに張ってある黒いテープをとります。
★テープで止めてあるのが分かりますか?

★バックライトユニット部に液晶表示部を乗せているところです。
★白い反射板部分にゴミがのったまま組み立てると、後で泣きを見ます
★息を殺して、そーっと置きました

★元のようにテープで留めていきます。貼ってあったテープは再利用できなかったので
セロハンテープでやっています。
すべての組み立てを終え、電源を入れ、正常に表示できるのを確認します。恐れていたゴミの混入は無いようですが、中央部に微かなシミが有りました、オークションでも調べるとCF-T1によくある症状のようで、この型の液晶パネルの癖みたいなものでしょうか?同じ液晶を使っているSS2000でもこの症状は出ているようです。
■最後に
液晶割れやライン抜けで液晶パネルを交換しなくてはいけなくなったCF-T1で、交換用の液晶パネルが見つからないとき、ちょっと手の込んだ作業がありますが、SS2000の液晶パネルを利用するのも一つの手ではないかと思います。
