
電気系のスキルがないにも関わらず、電源が入らないジャンクを弄ってみたいと思っていましたが、今回そんな症状のジャンクノートを手に入れることが出来ました。 いきなりその結果ですが、ラッキーなことに「○」でした。 ノートパソコン本体の分解という作業がありましたが、その他半田付けなどの難しい作業は一切無しで復活できました。 始めに断っておきますが、電源が入らないジャンクノートがすべてこの方法で修理できるとは限りません。たまたま運が良かったのかもしれませんが、こんな方法でも直る可能性があるという一例としてご紹介します。
■症状
今回いじるジャンクノートパソコンは、SONY VAIO PGC-VX7/BDです。A4サイズながらドライブ類を排し、薄型のボディを持つノートパソコンです。CPUは、Pentium III プロセッサー 850MHz-Mと今となっては低スペックですが、ワイヤレスを標準装備して持ち運びに良いスリムボディは、用途を限定すれば今でも十分に使用に耐えると思います。 余計な説明をしましたが、症状はタイトルにあるように「電源が入りません」、具体的には、ACアダプタを接続、電源スイッチを入れるも全く反応無し、電源ランプ、バッテリ充電ランプ等も一切反応ありません。 ざっと見渡したところ、液晶割れ無し、筐体割れ無しなので本体に衝撃が加わったことによる故障は考えられません。 キーボード周りには、特に液体をこぼした後も無いようです。 バッテリは放電しているのか充電されているかは不明ですが、AC無しのバッテリ駆動を試しますがこちらも全く反応無しです。
■まず何をする
電源が入らないのは、ほとんどの場合内部に問題がある可能性は否定しませんが、だからといっていきなり分解というのも何ですので分解する前に考えられることをやってきます。 といっても、一つしかありませんが。 それは「ACアダプタ」です。「なぁーんだ」と思われたかもしれませんが、意外と盲点なんですね。ACアダプタがきちんと電力を供給しないと本体は動かないんですから。 正常動作する本体でもバッテリが放電した状態で故障したACアダプタを繋いでも電源は入りません。ACアダプタって、そんなに故障するものではないのですが、一応は疑った方が良いです。 そこで、VAIOについてきたACアダプタはというと、テスタで検査しましたが規定の電圧で電流は流れているようなので、ACアダプタが原因ではないようです。
■ACアダプタの差し込み口
次に気になったのは、ACの差し込み口。いやにグラグラするんです。 差し込み口の接触不良が起こっているような気もします。。 これはさすがに分解しないと分からないのですが、同じ形状のコネクタを持つCF−M2の差し込み口と比べると、VAIOの方がぐらつき度が大きいように見えました。
■分解作業
それでは内部の確認をする為にVAIOの分解をします。 バッテリー、ハードディスクを外して、本体底部のネジをすべて外します。 その他、隠しネジが2本ほど有るのでそれも外します。 これでキーボートユニット及びパームレスト部が分解できます。 分解できたところで、AC差し込み口部分を確認。そのぐらつきの原因は?
残念ながら接触不良が原因ではありませんでした。単に取り付け部分に「遊び」がありそれが原因でグラグラしていただけでした。

分解の前にハードディスク(写真上)やバッテリーを外します。

底部のネジを全部ゆるめますが、脚部(写真左上)のパーツの下に隠しネジがあります。

底部のネジをゆるめるとキーボードユニットが外れます。キーボードユニット下の2カ所のネジをゆるめるとパームレスト部が取り外せるようになります。

ACアダプタ差し込み口付近の様子です。取り付け部分に「遊び」があったため、ぐらついたようです。
■ケーブルが外れている
AC差し込み口は正常でしたので、他の不具合がないかマザーボード上を眺めます。 すると一本のケーブルが外れているのに気がつきました。このVAIOのシステムボードはいくつかのパートに分かれておりそれらをケーブルで繋ぐというような形になっているのですが、そのうちの一本がコネクタから外れていました。 どうしてこのようになってしまったかは不明です。コネクタ部はロックがついており、簡単に外れるような構造にはなっていません。 私が手に入れる前に一度分解されて、その際に取り付け忘れたのでしょうか?
もしかしたらこれが原因か?と思い外れているケーブルを取り付け、電源を入れてみましたが、残念ながら起動しません 但し、一つだけ変わった点があります。それは電源ランプと充電ランプが点くようになったことです。 これで「電源不可」ジャンクから、「通電起動不可」ジャンクに変わりました。

赤線で囲んでいる部分をご覧ください。ケーブルがコネクタから外れていました。
■通電起動不可ジャンクといえば
通電起動不可といわれると私は真っ先に「メモリ」のチェックをします。それは「何故」といわれても、経験的にというしかないのですが。
このVAIO VX7/BDの仕様では、オンボードに128MB、増設スロットに128MBの合計256MBとあるので、増設スロットの128MBを取り外して様子を見ます。 オンボードの128MBでの起動を試みますが、全く変化無しです。 オンボードメモリについては取り替えようがないので、結局メモリが起動不可の原因かははっきりしません、可能性があるとしか言えないです。

メモリの増設スロットは、キーボードユニットの下にあります。
■手詰まり
基本的に基板を読むスキルがないので、ここに来て手詰まり状態になりました。スキルのある人は基板の配線を追いながら、チップヒューズなんかをテスタでチェックして、原因の究明が出来るのでしょう。自分のスキルの無さを恨むしかないのですが、ここはスキルのない人間が最後に出来る方法「CMOSクリア」を実施することにしました。 マザーボード上にあるCMOSバッテリーを外し、しばらくそのまま放置、COMSをクリアさせるという方法です。 最近ではあまりやってませんでしたが、ジャンクノートを弄りだした頃、不具合があると何かといえば「CMOSクリア」をしていました。
■CMOSバッテリーは何処にある?
ざっとマザーボードを眺めましたがCMOSバッテリーが見あたりません。おそらくはマザーボードの裏側に有るのでしょう。 CPUファンを取り外し、マザーボードを外すとやはり裏側に有りました。 慎重にマザーボードから取り外し、自分が一服する間そのままにしておきました。 5分程度おいて取り付け、マザーボードやその他のパーツも元に戻し、電源を入れられる状態にしました。 私の技量ではこれが精一杯、駄目ならマザーボードごと交換だなぁ、と思いつつ、電源をオン。 すると、液晶画面がちらっと光り「VAIO」のロゴが・・・おおぉぉぉぉ、動いたぁー、 思わず叫びました。 一旦電源を切り、すべてを完全に組み立て、ハードディスクやバッテリーも取り付け、もう一度電源を入れます。 今度も電源が入り、ハードディスクの「カリカリ」というアクセス音も聞こえます。 そのままWindows XP HOMEが立ち上がりました。

取り外したマザーボード。CMOSバッテリーが見あたりません。

マザーボードの裏側にありました。

コネクタを引き抜いて、暫く放置しました。

CMOSバッテリーを接続、スイッチを入れてみると、おぉぉぉっと、電源が入りました!!
■でもやっぱり難はあった
XP起動時に「日時設定が誤っています」というエラーメッセージが出たので、COMSクリアによりクリアされてしまったBIOSの設定作業を行おうとBIOSの設定画面(起動時にF2キーを押す)に入ろうとすると、いきなりパスワード画面が!!このVAIO、 俗に言う「BIOSパスワード」が掛かっていたのでした。起動パスワードではないので、windowsは通常通り使えますが、BIOSの細かい設定ができません。 BIOSパスワード解除には色々と方法があるようですが、ことノートパソコンのBIOSパスワード解除はかなりのスキルが必要なようです。 私にはそんな技術も道具もないので手出しが出来ません。別に通常に使う分には全く不都合はないのでこのままでもいいのですが、でも何もしないのは悔しいので、試しにBIOSのアップデートを試してみました。 結果はBIOSのバージョンはアップしましたが、パスワードは解除できませんでした。 そう簡単に解除できる訳無いですね。

BIOSパスワード画面です。パスワードはBIOSアップデートでは解除できませんでした。残念!
■最後に
このレポートを読まれて、「なんかうまくできた話だな」と思われる方は少なくないと思います。私自身が一番そう思っているくらいなんですから・・・・ でも本当なんです。