バックライト切れとは、液晶が一見映っていないようですが、画面をよく見るとかすかに見える状態のことをいいます。 液晶パネル内にある冷陰極管が点灯しなくなるとこのような状態になります。 冷陰極管が不点灯になる原因としては、冷陰極管自体が破損等で不点灯になる場合と、もしくは何らかの原因で冷陰極管に電力供給が行われなくなる場合とがあります。 今回レポートするバックライト切れジャンクのThinkPad X40は、冷陰極管に電力供給を行う「インバーター」が不良でこのような状態になっていました。このインバーターを正常な部品と交換して液晶が正常に映るように修理してみます。
■バックライト切れの瞬間を目撃
いきなり違った話で悪いのですが、ノートパソコンがバックライト切れになる瞬間を目撃したことがあります。ThinkPad T21でしたが私の子供がヒンジに近い側のキーボード上を「バンバン」と2回ほど叩いた瞬間、液晶が映らなくなりました。しかしよく見てみるとかすかに映っているので、バックライト切れになったということがわかりました。 分解して原因を調べるとインバーターが故障しており、交換すると正常に映るようになりました。このことから、「インバーターは衝撃に弱い」と私の中では勝手にそう思っています。このThinkPad X40はモバイルノートパソコンなので、持ち運びの際に何かの衝撃が加わってインバーターが故障したのかもしれません。
■インバーターにアクセスする
すべてのノートパソコンがそうであるかは断言できませんが、大体インバーターは液晶カバーの中に液晶パネルと一緒に取り付けられています。ThinkPad X40の場合、液晶パネルの下側、ヒンジがある側に取り付けられています。インバーターにアクセスするためにフロントベゼルを取り外します、左右のヒンジ付近にあるネジを外し、あとはフロントベゼルを破損しないように気を付けて作業します。X3x系のフロントベゼルに比べ取り外しが若干困難です。 フロントベゼルを取り外すと液晶パネルの下側にインバーターがあります。

ヒンジ部分にあるネジをゆるめた後、フロントベゼルを外します

赤線で囲んだ部分が「インバーター」です。ついでに液晶をよく見てください。かすかにWindowsのデスクトップ画面が写っています。まさしくバックライト切れ状態です。
■インバーターの交換
まず故障しているインバーターの取り外しです。 向かって左側の極小ネジを外し、システムボード側からきているフラットケーブルを外します。フラットケーブルはマイナスドライバーを使ってこじるようにして外すとうまくいきます。ここまででインバーターはかなりフリーになります。そして、最後に液晶パネルとを結ぶケーブルを取れば取り外しが完了です。 このケーブルの取り外しは少々困難です。私は自分の手でやりましたが、ラジオペンチなんかを使うとやりやすいかもしれません。

赤丸で囲んだ部分はネジとフラットケーブルです。

フラットケーブルは接続部分の隙間にマイナスドライバーをいれてこじってやると取り外しがうまくいきます。(ドライバの先で示している部分です)

液晶パネルとを結ぶケーブルです。取り外しにはちょっと力が必要です。手でするよりラジオペンチのほうがいいかも・・

インバーターの取り外しが完了しました。

インバーターです。下が取り外したもの、上が今回交換するインバーターです、中古品ですが動作確認されたものです。以前、ThinkPad A31のインバーターをIBMに注文したら7千円程度しました。機種によって違いがあると思いますが、新品だと意外に高価なパーツです。
■交換後
正常なインバーターを取り付けます。取り付けは外す場合と逆の手順で行います。 取り付け後動作の確認ですが、電源投入後当然のように「IBM」ロゴが現れ正常に写ることを確認できました。 そのままWindowsが起動しましたが、液晶の状態が今ひとつです。画面にシミが見受けられます。背景の色によっては目立たないぐらいのものですが、元々ジャンク品なのでこのくらいは仕方がないですね。

交換完了です。フロントベゼルは両面テープで固定されている部分があるので、再度取り付ける際には新しいものを貼ります。

ちょっとシミがありますが、ジャンク品なので仕方ないです。でも使用には全く差し支えないです。